これを読めば、ゼロから立派なキャバクラ黒服(ボーイ)になれる!
リアルな黒服経験者の声をもとにした黒服デビューストーリー『黒服の翔(カケル)』
大学を中退してフリーターを続けている、21歳の鈴木 翔(カケル)が主人公。
遊ぶお金の余裕もない金欠生活を送っていたが限界を感じ、キャバクラの黒服(ボーイ)という選択肢を見つける。
歌舞伎町のキャバクラ「ブルーシャンデリア」面接当日、面接官の銀島から提出物を求められて…!?
銀島:「履歴書と、メールでお伝えしたモノを提出してもらっていい?」
翔:「えっ……?」
オレの反応に、銀島さんが怪訝そうな表情を見せる。
銀島:「年確できる身分証の提出、メールに書いておいたはずだけど」
そうか、キャバクラはお酒を出すから未成年を雇えない。だから身分証がいるのか!
見た目のことばかり気にして、メールに書いてあった持参物をすっかり見落としていた。ヤバい、ヤバい!
自動車免許は持ってないし、保険証は部屋が汚すぎてどこかに紛失している。
今のオレ、身分を証明できるものがなにもないんだった……。
少しでも証明代わりになるものはないかと財布を漁ると、一枚のカードに指先が触れた。これだ、もうこれを出すしかない。
翔:「あのッ、これ! 中退したので期限は切れてるんですが……」
そう言って差し出したのは、有効期限切れの大学の学生証。今はもう身分証明書として使えない、けれど。
翔:「ここに顔写真と生年月日があるので、成人である証明にはなりませんかね……?」
重要なのはアルコールを提供できる年齢かどうか確認することのはずだ。これでもし殴られたら、夜の世界には縁がなかったんだと思おう。
緊張で震える手をぎゅっと握りしめたそのとき。
銀島:「へー、鈴木くんも令和大だったんだ。僕もだよ」
翔:「……そ、そうだったんですか?」
学生証を見て、銀島さんはニヤリと笑った。
銀島:「しかも中退したのも一緒。もしかしてダブり?」
翔:「はい。留年二回で強制中退でした……」
銀島:「アハハッ、真面目に通わなかったのも同じじゃん! 鈴木くんが後輩になったら楽しいかもね。本当は期限切れじゃダメなんだけど、年齢確認はこれで良しとしよう。採用になったら後日きちんと身分証を拝見するからよろしく。えーと、じゃあ次は履歴書をもらっていいかな?」
つまり、セーフってことか……?
予想外の反応に驚いて、またボケっとしてしまった。慌てて履歴書を提出する。
びっくりした理由は、銀田さんと境遇が似ているからじゃない。
大学を留年したうえ中退までしてしまった、コンプレックスまみれの経歴を笑い飛ばしてくれた人なんて、銀田さんが初めてだったからだ。
夜の世界の人たちって、もっと偉そうにふんぞり返ってオラオラしているイメージだった。
オレみたいな暗い人間はバカにされるかもしれないと思っていた。
もしかして、偏見だったのかもしれないな……。
翔くんは面接時の服装や身だしなみを整えることに気を取られ、面接当日の持参物チェックを怠ってしまいましたね。
最近のナイトワーク業界はクリーンな運営が推進されているので、通常の居酒屋やバーなどと同様に、未成年者の雇用に厳しくなっています。
アルコールを提供する立場というのもありますが、そもそもどこの誰かもわからない人を安易に雇うのは、お店にとってハイリスク。
どんなに良い人柄で志望動機がしっかりしていても、身分証がなければ働けないというケースもあります。
銀島さんは優しく対応してくれましたが、通常は期限切れ身分証は認められないので気をつけて!
免許証もなく保険証も持っていない場合、住民票の写しなどで対応できることもあるので、まずは役所に相談してみましょう。